白血球除去療法(LCAP)は多剤無効例の関節リウマチ患者や,感染や薬剤アレルギーの存在などの為に生物製剤を含むスタンダードな治療が受けがたい患者に対しても比較的高い安全性をもつ,難治性症例に対する一つの治療選択肢である.炎症性腸疾患や壊疽性膿皮症,慢性脱髄性神経疾患,ANCA関連血管炎などへの有効性や皮膚潰瘍の改善効果も知られており,その効果機序の解明が進められている.治療後のCD34+細胞等の末血への動員や,TNFα,IL-6の低下,IL-10の増加などのサイトカイン・バランスの補正,活性化血小板の除去等の様々な知見が集積されているが,詳細は未だ不明である.我々は当院にて大量白血球除去療法を施行した関節リウマチ患者から治療直前,直後に末梢全血のmRNAを抽出,DNAマイクロアレイ(東レ:3-D gene®)にて網羅的に遺伝子の発現量変化を観察し,得られた結果をパスウェイ解析ツールであるMetaCore®(Thomson Reuters社,米国)を用いて検討を行った.計16名の患者における解析で抗原提示に関わる遺伝子群やインテグリンを介する細胞接着に関する遺伝子群が特にLCAP後に減少することを見出した.これまでに知られることがなかったLCAPの治療効果機序の一端である可能性がある.
関節超音波検査(US)のパワードップラシグナル(PD)は,関節リウマチ(RA)における疾患活動性と骨関節予後判定に有用である.今回我々は,日常診療で得られる臨床情報で,PDの有無やグレード予測に有用な因子が何れかを明らかにすることを目的とした.US評価対象関節は両側の1-5MCPと手関節,滑液貯留/滑膜肥厚/PDの有無の確認と半定量でのグレード分類を行った.腫脹関節数(SJC),圧痛関節数等の日常診療評価項目をPD寄与因子候補として以下2つの解析を行った.(1)PDグレードに関連しうる因子を相関解析,多重回帰分析により選択(2)PD無に寄与する因子を多重ロジスティック解析により選択.SJCがPDスコアの程度に最も関連する因子として抽出された(PD score=1.968 +0.625*SJC, R square=0.4566, p value <0.0001).PD remissionにはSteinbrockerのステージがI/II(odds ratio [OR] 9.23, p=0.0049),手指のSJCがゼロ(OR 6.60, p=0.0039), SDAI (or CDAI) remission(OR 5.06, p=0.0450)が寄与因子として同定され,3項目を同時に満たす場合にPD remissionの陽性的中率が100%であった.PDスコアグレードはSJCで,PD remissionはSDAI/CDAI, Stage, SJCを組み合わせる事で日常診療評価項目からある程度予測が可能であると考えられた.エコー要/不要症例を適切に選択することが可能となり,有効なUS活用法の確立につながると考えられる.