目的 生物学的製剤(Bio)使用中のRA患者における治療前後の各抗体の推移と疾患活動性との関連について検討.方法 Bio使用患者65名について治療前後(12ヶ月)の抗CCP抗体,抗Sa抗体,RF,MMP-3を測定した.疾患活動性についてはDAS28/CRPにより評価.結果 治療前の抗CCP抗体,抗Sa抗体,RF,MMP-3の陽性率は各々,61(93.8%),40(61.5%),55(84.6%),55(84.6%)で,治療後は60(92.3%), 28(43.1%),45(69.2%),49(75.4%)であった.治療前RF高値例は疾患活動性も高い傾向にあった(p=0.003).一方で,高疾患活動42症例において抗Sa抗体は15例で陰性で,他に比べ陰性率が高かった (4.8%,35.7%,7.1%,7.1%;p=0.001).治療後DAS28/CRPの改善はRF陽性症例で有意に高く(p=0.039),他では差はなかった.さらに,治療後中等度から低疾患活動性の改善をみた54症例中,35(64.6%),27(50%),34(62.9%),35(64.8%)で抗体価の低下は認めたが,寛解症例において差はみられなかった.抗Sa抗体,RF, MMP-3は治療後陰転化が10,6,10例でみられたが,抗CCP抗体では1例以外陰転化はみられなかった.また,疾患活動性改善の有無に関わらず,各抗体の抗体価は治療後に明らかに低下した(p=0.008,p=0.023,p=0.002,p<0.001).結語 RFは他に比べBio治療後の疾患活動性改善と相関した.また抗CCP抗体は治療効果群での抗体陰転化はわずか1例のみで,治療中の疾患活動性マーカーとしては有用でないことが示唆された.
〈目的〉ヘプシジン-25は主にIL-6に誘導され,鉄代謝に影響し慢性炎症状態時の貧血病態形成に関与する.抗TNF-α及び抗IL-6療法を用いて治療した関節リウマチ患者のヘプシジンの変化を観察し,治療効果に影響するか検討する. 〈方法〉当院へ通院中の関節リウマチ患者のうち,インフリキシマブ治療を受け有効と評価された群,インフリキシマブで治療不十分と評価され治療中止した群・トシリズマブ治療が有効と評価された群の3群を抽出.治療前後の血清を用いてヘプシジン-25をELISA法で測定し,その他の臨床データも含めて比較検討した. 〈結果〉上記3群いづれも治療前後においてヘプシジン-25は低下した.インフリキシマブ抵抗群及びトシリズマブ有効群の治療前ヘプシジン-25血中濃度は,インフリキシマブ有効群よりも高い傾向が見られた.また,ヘプシジン-25濃度と関連する末梢血Hb値の治療前値の比較において3群間に有意差が見られた. 〈考察〉新規に生物製剤導入を検討する活動性関節リウマチ患者のHb値及びヘプシジン-25の測定は抗TNF-α療法及び抗IL-6療法の選択の決定の一助となるかもしれない.
関節超音波検査(US)のパワードップラシグナル(PD)は,関節リウマチ(RA)における疾患活動性と骨関節予後判定に有用である.今回我々は,日常診療で得られる臨床情報で,PDの有無やグレード予測に有用な因子が何れかを明らかにすることを目的とした.US評価対象関節は両側の1-5MCPと手関節,滑液貯留/滑膜肥厚/PDの有無の確認と半定量でのグレード分類を行った.腫脹関節数(SJC),圧痛関節数等の日常診療評価項目をPD寄与因子候補として以下2つの解析を行った.(1)PDグレードに関連しうる因子を相関解析,多重回帰分析により選択(2)PD無に寄与する因子を多重ロジスティック解析により選択.SJCがPDスコアの程度に最も関連する因子として抽出された(PD score=1.968 +0.625*SJC, R square=0.4566, p value <0.0001).PD remissionにはSteinbrockerのステージがI/II(odds ratio [OR] 9.23, p=0.0049),手指のSJCがゼロ(OR 6.60, p=0.0039), SDAI (or CDAI) remission(OR 5.06, p=0.0450)が寄与因子として同定され,3項目を同時に満たす場合にPD remissionの陽性的中率が100%であった.PDスコアグレードはSJCで,PD remissionはSDAI/CDAI, Stage, SJCを組み合わせる事で日常診療評価項目からある程度予測が可能であると考えられた.エコー要/不要症例を適切に選択することが可能となり,有効なUS活用法の確立につながると考えられる.
背景・目的:Mucosal-associated invariant T (MAIT)細胞はMHC Class Ib分子に属するMajor histocompatibility molecule related 1 (MR1)分子に拘束され,T細胞受容体(TCR)にインバリアントなα鎖(マウスVα19,ヒトVα7.2)を発現している.ヒトMAIT細胞は末梢血T細胞の約5%を占め感染免疫や自己免疫に関与することが示唆されているが,そのメカニズムや認識する抗原については不明な点が多い.今回ヒトMAIT細胞の活性化機序について解析を行った. 方法:健常人末梢血単核球にTCR刺激や様々な種類のサイトカインによる刺激を加え,細胞内染色により産生サイトカインを解析し,CellTrace試薬を用いて細胞増殖能を調べた.セルソータ—で単離したMAIT細胞にTCR刺激を加え活性化を検証した. 結果:末梢血単核球にTCR刺激や炎症性サイトカインの刺激を加えた場合,MAIT細胞は活性化し増殖した.しかし単離したMAIT細胞はTCR刺激で活性化せず,増殖はほとんど見られなかった.MAIT細胞の増殖はIFNαやIL-10の存在下で抑制された. 考察:MAIT細胞の活性化は,TCRを介した抗原刺激だけでなくサイトカインに影響を受けることが考えられた.