【背景】Microtubule associated protein 2(MAP-2)は神経細胞に特異的にみられる蛋白である.中枢神経ループス(NPSLE)の診断には感染症や薬剤の副作用,代謝異常などの二次的な原因の鑑別が求められるため,臨床上その診断は困難な場合が多い.それゆえ特異性の高い新規診断バイオマーカーの確立が必要とされている.我々は脳脊髄液中の抗MAP-2抗体が有用であることを証明するべく本研究を行った.【方法】NPSLE患者(n=24)および非NPSLE患者(n=18)の脳脊髄液中抗MAP-2抗体,抗リボゾーマルP抗体,IL-6をELISA法にて測定した.【結果】NPSLE患者は非NPSLE患者と比べて脳脊髄液中の抗MAP-2抗体価が有意に高値であった.カットオフ値をコントロール群の平均+3SDに設定したところ,抗MAP-2抗体の陽性率は,NPSLE群は33.3%(8/24)でコントロール群では1例もみられなかった.脳脊髄液中抗リボゾーマルP抗体価とIL-6濃度は,抗MAP-2抗体陽性NPSLE群にて抗MAP-2抗体陰性NPSLE患者や非NPSLE患者よりも有意に高値であった.【結論】脳脊髄液中の抗MAP-2抗体はNPSLE患者の33.3%で認められ,診断特異性は高かった.脳脊髄液中の抗MAP-2抗体がNPSLEの新規診断バイオマーカーとして有用であると考えられた.
関節超音波検査(US)のパワードップラシグナル(PD)は,関節リウマチ(RA)における疾患活動性と骨関節予後判定に有用である.今回我々は,日常診療で得られる臨床情報で,PDの有無やグレード予測に有用な因子が何れかを明らかにすることを目的とした.US評価対象関節は両側の1-5MCPと手関節,滑液貯留/滑膜肥厚/PDの有無の確認と半定量でのグレード分類を行った.腫脹関節数(SJC),圧痛関節数等の日常診療評価項目をPD寄与因子候補として以下2つの解析を行った.(1)PDグレードに関連しうる因子を相関解析,多重回帰分析により選択(2)PD無に寄与する因子を多重ロジスティック解析により選択.SJCがPDスコアの程度に最も関連する因子として抽出された(PD score=1.968 +0.625*SJC, R square=0.4566, p value <0.0001).PD remissionにはSteinbrockerのステージがI/II(odds ratio [OR] 9.23, p=0.0049),手指のSJCがゼロ(OR 6.60, p=0.0039), SDAI (or CDAI) remission(OR 5.06, p=0.0450)が寄与因子として同定され,3項目を同時に満たす場合にPD remissionの陽性的中率が100%であった.PDスコアグレードはSJCで,PD remissionはSDAI/CDAI, Stage, SJCを組み合わせる事で日常診療評価項目からある程度予測が可能であると考えられた.エコー要/不要症例を適切に選択することが可能となり,有効なUS活用法の確立につながると考えられる.